伊藤らは,広島の原爆で爆心地から1.5㎞以内の直接被爆者6112名と,
3㎞以遠の直接被爆者3047名のTSH値を検討した結果,
甲状腺機能低下症の頻度は,
男性では,1.5㎞以内群1.22%, 対照群0.35%,
女性では,1.5㎞以内群7.08%, 対照群1.18%
であったと報告している。
また,被曝線量別にみた甲状腺機能低下症の頻度は,
男性の
1ないし99rad 群で1.03%,
200rad 以上で3.67%
であり,女性では,それぞれ
1ないし99rad 群で6.23%,
200rad 以上で7.26%
となり,被曝線量の増加とともに機能低下症が高率となった。
さらに,機能低下症の症例のマイクロゾーム抗体陽性率は,1.5㎞以内群においては,対照群に比して,男女ともいずれも著明に低率であった。