2016年10月21日金曜日

(原爆症認定・小池晃)第186回国会 厚生労働委員会 第6号(平成26年4月1日)

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
原爆症の認定訴訟について最初に聞きます。
三月二十日に大阪地裁、二十八日には熊本地裁で判決が出ました。いずれも、昨年十二月に国が定めた新基準で却下された被爆者を原爆症と認定したわけであります。
しかし、厚労省は昨日、大阪地裁で原爆症と認定された原告四人のうち一人について控訴いたしました。高齢の原告に更に苦しみを強いる非人道的な控訴にまず断固抗議をしたいというふうに思います。同時に、今回新しい基準に基づく再審査でも却下されていた残りの三人については控訴しなかったわけであります。これは、結果としてやはり新基準の不十分さを政府も認めたことになるのではないかというふうに思います。
大臣に伺いたい。
まず、熊本地裁判決については、これは控訴は断念すべきであるということが一点。それからもう一点は、司法判断と行政の乖離はもう明確になったというふうに思います。原爆症の認定基準の再改定、そして認定行政の抜本的な改善を求めたいと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 今般の裁判でありますけれども、旧方針、つまり認定基準に合わせて結審をされたものでございますから、新方針、新しい基準は、昨年の十二月に関係者の方々の話合いの中において新たな方針というものが決められたわけであります。いろんな御意見があったことは私も承知いたしております。
でありますから、新しい方針、これは特に科学的な観点から、例えば距離基準に関しても明確化したわけでありますけれども、こういう新しい方針にのっとってやはり司法の判断を仰ぐというのが基本的な考え方の中において、一番初めの大阪に関しましては、これは更に上級審での判断を仰ぐということにさせていただいたわけであります。
熊本に関しましては、これから今申し上げたようなところをひとついろいろと勘案しながら、どうすべきか判断をさせていただきたい、このように考えております。
○小池晃君 いや、それは、新基準は結審後にできたわけですから、新基準そのものを司法判断できないのは当然でしょう。でも、結果として、新基準に基づいて再認定求めたら却下したわけですよ。その人たちが原爆症と認定されるという判断が、司法判断が下ったわけでしょう。そのうち三人についてはそれを受け入れたわけじゃないですか。
ということは、これは新たな基準自体に問題があるということですよ。少なくともその三人についてこれは控訴しなかったということは、やはりその新基準に基づく認定を却下したことは間違っていたということでしょう。だとすれば、認定行政はやはり改めなければいけないじゃないですか、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 以前の基準は基準としてあったわけでありますが、非常に不明確な部分があるという御指摘もいただいておったわけであります。
それを一つ勘案しながら司法の方で判断をされた結果があったわけでありますが、そういうことも踏まえて新しい基準、方針を十二月に作ったわけでありますから、それをもってして司法がどのような御判断をいただくか、そこは科学的な観点も含まれておるわけでございますので、その判断を仰ぎたいということであります。
○小池晃君 私の言ったことに答えていないと思いますね。
今回の大阪地裁の裁判で、私、ひどいなと思ったのは、例えば骨髄異形成症候群の原告について要医療性を争った人については、これは放射線起因性は認められるけれども、高齢で輸血などができないということで、単なる経過観察だから要医療性はないという、こういう主張をしているわけですよ。
今回、厚労省は、この主張を否定した判決を受け入れたわけですね。私、当然だと思います。こういう非人道的な許されない主張はきっぱりやめるべきだというふうに思いますし、大臣、幾ら言っても、結局、新しい基準作りましたと、それに基づいて再申請したら却下された人が裁判では認定されているわけですから、それを受け入れたわけだから、厚労省も。やっぱり、これは認定行政見直すの当然だし、認定行政見直すのであれば、その中にある基準についてもこれは当然見直すべきだということを改めて申し上げたいというふうに思います。